(王子様は、一体どこにおられる……)
昼過ぎてもシャロスの姿を見当たらなかったため、レイラはついに我慢できず探しに出かけた。
シャロスからはかまうなとは言われたが、彼の身に何か危険が降りかかっているかもしれないと思うと、
いても立ってもいられなかった。
歩いている途中、レイラは今朝の隊員達との会話を思い返し、なぜか胸がドキドキした。
(そういえば、シャロス様もそろそろ異性に興味を持ち始めるお年頃だわ……
シャロス様も政事ばかりに没頭せず、そろそろ嫡室の選別をして頂かないと……)
戴冠式の時、シャロスの凛々しい姿の側に美しい妃の姿がいれば、国民の歓喜はより一層高まることでしょう。
しかし、それ以降自分が彼の側にいなくてもいいと思うと、レイラは心が急にちくっとした痛みを感じた。
彼女は思わずびっくりして、自分の胸を抑えて。
(今一瞬、刺が刺さったような感じが……なぜだろう?)
あんまり慣れない感情に、レイラは頭をぶるぶる振るわせた。
(はぁ、いつまでもこんなくだらない事を思ってるんだ。
今は、殿下を探すのが先決ではないか。速く、殿下を探さなきゃ)
レイラ踵を返そうとしたとき、耳元に残るような声が彼女を呼び止めた。
「あら、レイラさんではありませんか」
「……皇后様!」
レイラはその姿を確認すると、すぐにひざまずいた。
彼女を呼び止めたのは、皇后のテイアであった。
今日の彼女は、ゆったりとした翡翠色のドレスを着ていて、その後ろに一人のメイドを従えていた。
レイラは同じ女性でありながら、リテイアの美しさを賛美せずにいられなかった。
ドレスの縁はきらめく瑪瑙に飾られ、すべすべの肌とあいまって、彼女の魅力をふんだんに引き出していた。
卑俗過ぎず地味過ぎない服飾は、彼女の妖艶な肢体と自然的な一体感を紡ぐ。
それに加えて、弾力に富む綺麗な肌は、まだ二十過ぎたばかりの自分と比べても全然遜色が無かった。
リテイアの素性を知る者は、ほとんどと言っていいほど誰もいない。
レイラがまだ小さかった頃、リテイアは後妻として先代国王の妃に迎えられた。
その時、彼女のきめ細かい肌や美しい容貌が、多くの人を魅了してきた。
年老いた国王の隣に並ぶ妖艶な美女は、レイラの記憶に深い印象を残してきた。
だが今から見直しても、リテイアの容姿は当時とさほど変わらなかった。
乙女のようなみずみずしい体と、どんな男をも虜にしてしまう艶かしさ。
その二つの要素が、彼女の身の上で見事に融合していた。
600 名前:魅惑の皇后 第四話(20/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:32:07 ID:mL0CRv5Q
リテイアは実は魔女ではないかという噂も流れているが、
そのような童話世界に出てくる話しをレイラは当然信じなかった。
ただし、時々彼女から感じるぞっとするような魅力に、レイラは背筋に寒気を感じていたのだ。
「くるしゅうない。護衛の任務、いつもご苦労ですわ。レイラ隊長がいたおかげで、我々はいつも安心できるわ」
「お褒め頂き、ありがとうございます」
「それにしても、この場にいるのは何用かしら」
「はっ。少し前に、殿下が一人になりたいとおっしゃられました。
それでしばらく経ってもお姿がお見えになられなかったので。私が殿下を探しております」
「ふふふ。まあ、良いではないか。
隊長さんの忠誠心は素晴らしいですが、たまには殿下を自由にさせることも大事ですわ」
「しかし」
「それに、これはわらわからのつたない助言ですが、隊長さんも、
これからはもっと自分のために気を使ってもよろしいかと」
「それは、一体どういうことですか?」
レイラは不思議そうにリテイアを見つめた。
リテイアの瞳は、どこか人を深く溶け込ませるような輝きがあった。
「殿下の身を心配するのも大事です。しかし、隊長さんは、もっと積極的に自分の幸せを掴まなくちゃ。
女が花を咲かせる時期は、一生に一度しかないのですから」
「はあ……」
レイラは要領をつかめないまま、答えた。
「では、護衛の任務がんばってください。わらわはここで失礼させてもらうわ」
リテイアはそう言ってその場から立ち去った。
彼女の背後にいたメガネをかけたメイドは、レイラに軽く会釈してから皇后に追随した。
(彼女はいったい、私に何を言いたかったのかしら……)
レイラは納得しないまま、しばらく考え込んだ。
庭園道を少し歩いたところ、リテイアはゆっくりと尋ねる。
「フシー、あの子を見て、どう思うかしら」
「……リテイア様がおっしゃったとおり、すばらしい逸材です。
正しく磨くことができれば、今よりずっと輝くことができるでしょう」
フシーと呼ばれたメイドは恭しく述べた。
そのメガネの後ろには、リテイアとよく似た妖しく光る瞳があった。
「あなたの目にそう映るのなら、間違いないでしょう。いつかは、彼女に手伝ってもらえれば良いですね」
「……その通りでございます」
フシーは淡々と、しかし堅実な口調で答えた。
「これからが、楽しみですわ」
リテイアは心底から愉しんでいるように、遠くにある宮殿を見つめた。
陽炎に包まれた壮麗な宮殿は、幻に包まれた優美さがあった。
是不是最后TJ了。。
没有吧 →_→咱们论坛的大神说后面太虐心了就不翻译了 这个大概是有十章
请问原文在哪?能不能干脆把原文搬过来,也方便大神看。之前翻译者发的原文链接,现在貌似要账号才能看了,所以············